守りたい人【完】(番外編完)
「朝比奈さん」

「なに?」

「大好き」


普段ではありえないような大胆な私の発言に、朝比奈さんは答えるように私をギュッと抱きしめた。

広い胸の中に閉じ込められて、幸せが増幅する。

そっとその背中に腕を回して、2人の間に生まれる隙間を無くす。


「志穂」


名前を呼ばれて顔を向ければ、黒目がちな瞳が私をじっと見つめていた。

だけど、目が合った瞬間、優しく細められる。

そして、引き寄せられるように唇を重ねた。


甘く、温かく、どこまでも幸せな夢。

永遠にも思えるその時が止まればいいのにと願った。


だけど、その時――。

どこからともなく私を呼ぶ声が聞こえた。

まるで水の中から聞いているような、ぼんやりとしたもの。

パッと顔をそちらに向けて、辺りを見渡す。

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