守りたい人【完】(番外編完)

キョロキョロと首を左右に振って、声の主を探す。

それでも、さっきまで聞こえていた声はピタリと止んだ。


気のせいかと思い、首を傾げながら視線を元の位置に戻す。

すると、さっきまで私を抱きしめていた朝比奈さんがこつ然と姿を消していた。


「朝比奈さん……?」


突然いなくなったその姿を探して、辺りを見渡す。

だけど、どこまでも広がる花畑には私1人。


途端に不安になって勢いよく駆けだす。

何度も朝比奈さんの名前を呼ぶが、世界には私だけ。


「どこっ? 朝比奈さん!」


不安で押し潰されそうになりながら、必死に駆ける。

何度も何度も、彼の名前を叫んで。

もう二度と会えないんじゃないかという不安が胸に巣くって、泣き出したくなる。

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