守りたい人【完】(番外編完)
「どこ行ってたの朝比奈さん!」
もう離すまいと、朝比奈さんをギュッと抱きしめる。
それでも、目の前の朝比奈さんはそっと私から距離を取った。
え? と思って、その姿を見上げると、迷彩服姿の朝比奈さんがいた。
「どう、したの? その恰好」
「行かなきゃ」
「え?」
「俺は行く」
訳の分からない事を突然言い出した朝比奈さんの言葉に、困惑する。
それでも、いつもより固い表情で朝比奈さんは小さく頷いてから、掴んでいた私の手をそっと離して背を向けた。
焦って追いかけようとするのに、突然地面に根が生えたように足が動かなくなった。
まるで石になったように徐々に重たくなっていく体に恐怖を覚える。
だけど今はそれよりも、どんどん小さくなっていく朝比奈さんの背中を見て焦る気持ちの方が強かった。
「朝比奈さん、待って!」
必死に声を張り上げるけど、その背中は一度も振り返る事はなかった。
もう離すまいと、朝比奈さんをギュッと抱きしめる。
それでも、目の前の朝比奈さんはそっと私から距離を取った。
え? と思って、その姿を見上げると、迷彩服姿の朝比奈さんがいた。
「どう、したの? その恰好」
「行かなきゃ」
「え?」
「俺は行く」
訳の分からない事を突然言い出した朝比奈さんの言葉に、困惑する。
それでも、いつもより固い表情で朝比奈さんは小さく頷いてから、掴んでいた私の手をそっと離して背を向けた。
焦って追いかけようとするのに、突然地面に根が生えたように足が動かなくなった。
まるで石になったように徐々に重たくなっていく体に恐怖を覚える。
だけど今はそれよりも、どんどん小さくなっていく朝比奈さんの背中を見て焦る気持ちの方が強かった。
「朝比奈さん、待って!」
必死に声を張り上げるけど、その背中は一度も振り返る事はなかった。