守りたい人【完】(番外編完)
「何呑気な事言ってるんだ、逃げるぞ!!」

「へ?」

「いつまで寝ぼけてるんだ! 置いてくぞ!」


抱き着いていた私を強引に引き剥がした朝比奈さんが、半ば叫ぶようにそう言った。

その顔は真剣そのもので、どこか焦っているようにも見える。

だけど、まだ寝ぼけている私は何の事か分からず首を傾げた。

すると。


「近くの川が氾濫した。高台に行かないと流されるぞ!」


緊迫したその言葉に、一気に目を見開く。

寝ぼけていた頭が一瞬にして現実に引き戻された。


「えぇ!?」

「すぐに出るぞ!」

「え、あ、はい!」


あまりにも突然の事に一瞬パニックを起こしそうになったけど、朝比奈さんの強い声を聞いて、勢いよく立ち上がった。

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