守りたい人【完】(番外編完)
想像もしていなかった事態に、どこか現実離れした感覚になる。
テレビの中でしか見た事なかった風景が目の前にあって違和感を覚える。
それでも、これは現実で夢ではない。
何度もそう自分に言い聞かせて、目を閉じる。
そんな時、今日はもう休もうという誰かの声を皮切りに、みんな疲れ切った顔で頷いた。
時計を見れば、もう夜中の3時だ。
ゾロゾロとみんな自分の場所に帰る様子を横目に、私達も体育館の隅に荷物を置いて、持ってきたバスタオルを布団代わりにして蹲った。
カチカチと体育館に備え付けられた時計の針の音がする。
その音を聞きながら、眠れるわけもなく、ただ暗闇を見つめる。
湧き起こる不安を抑えるように手を握るが、さっき見た光景が脳裏に焼き付いて離れない。
荒波のように襲い掛かる黒い水と、ゴウゴウと鳴る風の音。
まるでこの世のものとは思えない光景に、足がすくんだ。
その途端怖くなってグッと体を丸める。
すると。