守りたい人【完】(番外編完)
途端に壊れたように涙が溢れてきた。

だけど、そんな泣き顔見られまいと必死に顔を隠す。

灯りのないここでは元々見えないのだろうけど、意地っ張りな私は逃げるようにバスタオルに埋もれた。


「げ、元気でました! 寝ます」

「あぁ」

「朝比奈さんも、寝なきゃダメですよ。おやすみなさい!」

「あぁ」


可愛くない私の態度にも、朝比奈さんは何も言わずに頷いた。

そして、再び訪れる静寂。


それなのに、さっきみたいな不安な気持ちはどこにも無かった。

朝比奈さんの言葉が胸に温かく灯る。

大丈夫、という言葉が。


チラリと朝比奈さんの方を盗み見れば、いつものポーカーフェイスで天井を見上げていた。

その横顔を見つめながら、やっぱり好きだなと思う。


無意識に上がる頬を抑えつつ、隠れるように顔をタオルで隠して目を閉じる。

そして、さっきまでの不安な気持ちが嘘のように私は意識を手放した――。
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