守りたい人【完】(番外編完)
そう言って、朝比奈さんの肩をポンッと一度叩いたその人は、雨の中に消えていった。

その背中を朝比奈さんと並んで見つめる。

すると。


「起きてたのか」


不意に聞こえた声に、隣に視線を向ける。

すると、前を向いたままだった朝比奈さんが視線だけ私に向けてそう言った。


「目が覚めて。それで、朝比奈さんがいなかったんで」

「自衛隊が来たのが分かって、ちょっと話してた」

「あの方も、お知り合いなんですか?」


何気なく聞いたその言葉に、朝比奈さんの表情が少しだけ変わる。

なんだろうと思いながら首を傾げると、息を吐いた朝比奈さんが小さく口を開いた。


「俺の元上司だ」

「――え」

「今ここにいる部隊は俺が以前所属していた部隊だ」

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