守りたい人【完】(番外編完)
真っ直ぐなその言葉に、ガツンと後頭部を殴られた気分だった。
浮かんでいた言葉が、一気に零れ落ちていく。
「心配するな。必ず戻ってくる」
唇を噛んだ私に、朝比奈さんが仕方ないなって顔で、私の顔を覗き込んだ。
その表情に目頭が熱くなるのを耐えながら、震える声を上げる。
「私も……」
「――」
「だったら、私も連れて行ってっ!」
睨みつけるように顔を上げて、そう言う。
そんな私を見て、朝比奈さんは驚いたように目を見開いた。
分かってる。
私が一緒に行った所で、何の役にもたてない事。
むしろ、足手まといになる事。
だけど、不安で押し潰されそうだった。
朝比奈さん1人で、そんな所に行ってほしくなった。
一緒に行きたかった。
まるで子供の駄々のような事を言った私を朝比奈さんは何も言わずに、じっと見つめた。
それでも。