守りたい人【完】(番外編完)
「ダメだ」

「――っ。邪魔になるような事はしないからっ」

「お前はここにいろ」

「いやっ!」


叫んだ私の声が辺りに響く。

今にも涙が零れてしまいそう。


どうして、こんなに不安になるのか分からない。

だけど、いくら朝比奈さんでも、自然の驚異には勝てない。

昨日見たあの濁流に飲まれでもしたら、きっと助からない。


「お願い……。ここにいて」


弱弱しい私の声が、ポツリと落ちる。

今にも泣いてしまいそうになって、隠すように下を向いた。

すると。


「心配するな」


その言葉と共に、ポンッと暖かな手が頭に乗る。

その重みの反動で、瞳に溜まった涙がポタリと一粒落ちた。

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