守りたい人【完】(番外編完)
「大丈夫だ。必ず帰るから」
「――」
「お前はここで、待ってろ」
じんわりと感じる熱が、涙腺を崩壊させる。
ぐっと強く唇を噛み締めて、これ以上涙を落とすまいとする。
行かないで。
そう言いたいのに、喉が詰まって声が出ない。
フルフルと拳だけが震えて、何も言えない。
すると、ゆっくりと頭に乗っていた手が下りる。
ハッとして弾けるように顔を上げると、私に背を向けて歩き出した朝比奈さんがいた。
その姿を見て、一気に背筋が凍る。
そして、反射的にその背中に向けて駆けだそうとした時。
「―――っ」
不意に掴まれた右手。
ガクンと前に出ていた体が止まる。
勢いよく振り返ると、真剣な顔をした鍛冶君が私の右手を掴んでいた。
「――」
「お前はここで、待ってろ」
じんわりと感じる熱が、涙腺を崩壊させる。
ぐっと強く唇を噛み締めて、これ以上涙を落とすまいとする。
行かないで。
そう言いたいのに、喉が詰まって声が出ない。
フルフルと拳だけが震えて、何も言えない。
すると、ゆっくりと頭に乗っていた手が下りる。
ハッとして弾けるように顔を上げると、私に背を向けて歩き出した朝比奈さんがいた。
その姿を見て、一気に背筋が凍る。
そして、反射的にその背中に向けて駆けだそうとした時。
「―――っ」
不意に掴まれた右手。
ガクンと前に出ていた体が止まる。
勢いよく振り返ると、真剣な顔をした鍛冶君が私の右手を掴んでいた。