守りたい人【完】(番外編完)
途切れ途切れの言葉で、花井さんは小さな声でそう言った。
グッと膝の上で握られた拳が僅かに震えているのが分かった。
その姿を見て、思う。
この人は今でも苦しんでいるのだと。
悩んで悩んで、答えが出ていないのだと。
唇を噛み締めて、顔を歪めている花井さん。
今にも泣きだしてしまうのではないかと思ってしまう程に。
すると。
「俺は正直、あんたの事ぶっ飛ばしてやりたいわ」
鍛冶君は花井さんの肩を掴んだまま、まるで唸る様にそう言った。
そして、大きな瞳を細めて花井さんをじっと見つめて口を開いた。
「あの人は――朝比奈さんは誰よりも自衛官としての自分に誇りを持っている人や。そんな人から居場所を奪ったあんたを、俺は許せない」
怒りを露にした鍛冶君を見たのは、これが初めてだった。
まるで歯を食いしばる様にそう言った鍛冶君は、掴んでいた花井さんの肩を更にグッと引き寄せた。
「だけどな。だけどやで? 朝比奈さんは自分の誇りを捨ててまで、あんたを守りたかった。俺には到底理解できんけど、それは、自分の事よりも誰かの為にいたいと思うあの人らしいと思う」
「――」
「後悔してる暇があるんなら、朝比奈さんの分まで一所懸命働き」
「――」
「我武者羅になって、もうダメやと思うまで前だけ向いて走り続けなアカンで」
グッと膝の上で握られた拳が僅かに震えているのが分かった。
その姿を見て、思う。
この人は今でも苦しんでいるのだと。
悩んで悩んで、答えが出ていないのだと。
唇を噛み締めて、顔を歪めている花井さん。
今にも泣きだしてしまうのではないかと思ってしまう程に。
すると。
「俺は正直、あんたの事ぶっ飛ばしてやりたいわ」
鍛冶君は花井さんの肩を掴んだまま、まるで唸る様にそう言った。
そして、大きな瞳を細めて花井さんをじっと見つめて口を開いた。
「あの人は――朝比奈さんは誰よりも自衛官としての自分に誇りを持っている人や。そんな人から居場所を奪ったあんたを、俺は許せない」
怒りを露にした鍛冶君を見たのは、これが初めてだった。
まるで歯を食いしばる様にそう言った鍛冶君は、掴んでいた花井さんの肩を更にグッと引き寄せた。
「だけどな。だけどやで? 朝比奈さんは自分の誇りを捨ててまで、あんたを守りたかった。俺には到底理解できんけど、それは、自分の事よりも誰かの為にいたいと思うあの人らしいと思う」
「――」
「後悔してる暇があるんなら、朝比奈さんの分まで一所懸命働き」
「――」
「我武者羅になって、もうダメやと思うまで前だけ向いて走り続けなアカンで」