守りたい人【完】(番外編完)
「それでは自分は隊に戻りますので」


ひとしきり笑った花井さんは、敬礼をしてから腰を上げた。

その姿を見て、慌てて私も立ち上がる。


「あの、花井さんっ」


呼び止めた私の声に、花井さんが肩越しに振り返った。

その姿に向かって、頭を下げる。


「ありがとうございます」

「――」

「私、信じて待ちます」


勢いよく顔を上げて、そう言う。

すると、花井さんは嬉しそうに一度微笑んでから、体育館を出て行った。


閉まる扉を見て、小さく息を吐く。

不安が全て消えたわけではないけど、さっきよりは心は軽い。

押し潰されそうだった心に、僅かに余裕ができた。


「俺達にできる事は信じて待つ事だけや」


体育館の扉を見つめていた私に、鍛冶君がポツリとそう言った。

その言葉にコクンと頷く。



必ず帰ってくると、そう信じて―――。


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