守りたい人【完】(番外編完)
「――…朝……」
擦れてしまった声で、窓の外を見つめる。
真っ暗だった空の色は朝焼けに染まり、雨もすっかり止んでいた。
僅かに体を動かすと、ミシミシっと音がするのではないかと思う程重たかった。
僅かに顔を歪めながら、時計に視線を向ける。
朝の7時。
結局、どれだけ待っても朝比奈さん達は今日も帰ってこなかった。
体育館の壁に体を預けて、じっと帰りを待つうちに朝になった。
花井さんに信じると言ったのに、もう心は限界に近かった。
何かあったのは明白で、今にも心にピンと張った糸が切れてしまいそうだ。
「朝比奈さん……」
何度も独り言のように彼の名前を呼んでも、返事は返ってこない。
目を閉じれば、先日見た不吉な夢が脳裏を過って結局一睡も出来なかった。
心配そうな鍛冶君の言葉に頷いて寝たふりをしていたけど、ずっと目を開けたまま体育館の扉を見つめていた。