守りたい人【完】(番外編完)
「花井さんっ」
私と鍛冶君も慌てて花井さんの元に駆け寄った。
そんな私達を見て、花井さんは表情を変える事なく、真剣な顔で私達を見つめた。
その姿が、不安を更に掻き立てる。
朝比奈さんに、何かあったのではという考えが一気に大きくなる。
いや――。
何かあったのだ。
「花井さん、朝比奈さんはっ」
今まで抑え込んでいた不安な気持ちが爆発しそうになる中、花井さんの服を掴んで言葉を急かす。
そんな取り乱しだした私の肩に手を置いた花井さんは、真っ直ぐに私の目を見つめた。
「落ち着いて下さい」
「ねぇ、朝比奈さんはっ」
「落ち着いて下さい」
「あ……朝比奈さんは」
肩で息をする私を落ち着かせるように、真っ直ぐに私を見つめてハッキリした声で何度もそう言った花井さん。
今にも崩れ落ちてしまいそうな私を、その腕で支えている。
大丈夫なの?
朝比奈さんは?
どこにいるの?
帰ってきたの?
声にならない問いかけが、グルグルと頭の中を巡る。
そして、言葉の先を待ち望む私と鍛冶くんにも目配せしてから再び花井さんは口を開いた。