守りたい人【完】(番外編完)
守りたい人
バタバタと足音を響かせて長い廊下を駆ける。
上がった息が苦しいけど、そんな事にかまっていられない。
「走らないで下さい!」
不意に看護師のそんな声が聞こえたけど、私の足は止まる事はない。
病院内を走ってはいけない事くらい百も承知だ。
それでも、今のこの精神状態で、ゆっくり歩く事なんて到底無理だ。
顔面蒼白で慌ただしく廊下を駆ける私と鍛冶君を見て、驚いたように振り返る人が見える。
それらを通り越して、足早に廊下を駆けた。
――…あれから、花井さんの運転する車に乗せてもらい、急いで朝比奈さんが運ばれたという病院に駆け付けた。
車内で花井さんに怪我の様子などを聞いたけど、花井さん自身も分からないそうだ。
分かっているのは、ただ、病院に運ばれたという事だけ――。
今にも切れてしまいそうな不安の糸。
紛らわすようにギュッと両手を握りしめて、朝比奈さんの無事を祈った。
「こっちです」
私達の先を行く花井さんが、朝比奈さんのいる病室まで案内してくれる。
コクンと頷いて、歩みを更に早めた。
上がった息が苦しいけど、そんな事にかまっていられない。
「走らないで下さい!」
不意に看護師のそんな声が聞こえたけど、私の足は止まる事はない。
病院内を走ってはいけない事くらい百も承知だ。
それでも、今のこの精神状態で、ゆっくり歩く事なんて到底無理だ。
顔面蒼白で慌ただしく廊下を駆ける私と鍛冶君を見て、驚いたように振り返る人が見える。
それらを通り越して、足早に廊下を駆けた。
――…あれから、花井さんの運転する車に乗せてもらい、急いで朝比奈さんが運ばれたという病院に駆け付けた。
車内で花井さんに怪我の様子などを聞いたけど、花井さん自身も分からないそうだ。
分かっているのは、ただ、病院に運ばれたという事だけ――。
今にも切れてしまいそうな不安の糸。
紛らわすようにギュッと両手を握りしめて、朝比奈さんの無事を祈った。
「こっちです」
私達の先を行く花井さんが、朝比奈さんのいる病室まで案内してくれる。
コクンと頷いて、歩みを更に早めた。