守りたい人【完】(番外編完)

「私達の口から言うより、実際目で見た方がいいでしょう」

「え?」

「中にいますので」


そう言って、目の前の病室を指さした男性。

真っ白な扉の横には、『朝比奈 誠』の名前が書かれていた。


「待ってますよ」

「え?」

「早く行ってあげてください」


穏やかに言われたその言葉を理解しないまま、小さく頭を下げる。

そして、そのまま弾けるように足を動かして病室の扉を開けた。


「朝比奈さん!」


勢いよく扉を開けて、そのまま雪崩れ込むように駆けこむ。

すると、真っ白な部屋の中に1人の男性がベットの上で半身を起こしながら驚いたようにこっちを見ていた。

その姿を見た瞬間、慌てて駆け寄った。


「朝比奈さん!!」

「よう」


勢いよく駆け寄った私を見て、朝比奈さんは苦笑いとも取れる笑みを浮かべて片手を上げた。

その手には痛々しいガーゼが貼られている。
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