守りたい人【完】(番外編完)
「どんな気持ちで朝を迎えたか分かるっ!?」
流れる涙も厭わずに、ポカンと口を開けたままの朝比奈さんにそう言う。
こんなに大声を出して誰かに怒鳴り散らすなんて初めてだった。
それでも、人の気も知らないで飄々としている態度が気に食わなかった。
私がどれだけ心配したか知っているはずなのに、笑っている鍛冶君にも腹が立った。
「まぁまぁ、無事帰ってきたんやし良かったやんか、なぁ?」
「良くない!」
尚もヘラヘラする鍛冶君をギロリと睨みつける。
すると、ビクリと肩を上げた鍛冶君は慌てて口を噤んだ。
そして、その表情のまま勢いよく朝比奈さんの方に視線を向ける。
あまりにも恐ろしい顔なのか、朝比奈さんもビクッと肩を上げた。
「もう、こんな無茶しないでっ!」
「わ、分かった……」
「なんともないのね!」
「なんとも、ない……」
しどろもどろになる朝比奈さんの言葉を聞いて、怒りとは別に胸の奥が熱くなる。
じんわりと安堵が胸に広がって、涙の量が増す。