守りたい人【完】(番外編完)
「よかったッ」


途端に体の力が抜ける。

心配で爆発しそうだった心が、ゆっくりと萎んでいく。


「無事でよかったっ」


震える声でそう言って、目の前で目を瞬く朝比奈さんの手を取る。

温かいその手を触った瞬間、更に安堵の気持ちが津波のように押し寄せてきた。


温かい。

生きてる。


細かい傷が目立つものの、変わらず暖かで大きなその手を取って、自分の額に当てる。

ポタポタと流れる涙は止まる事を知らず、真っ白なシーツにシミを作っていく。


ゆっくりと視線を上げると、僅かに口端を上げて微笑む朝比奈さんがいた。

その姿を見た瞬間、涙が洪水のように流れて息が詰まる。


「心配かけて、悪かった」


優しくそう言われたと同時に、大きな手がポンッと私の頭に乗る。

その反動で、瞳に溜まっていた涙がボタボタと落ちた。

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