守りたい人【完】(番外編完)
「で? で? どこから来たの? 今日着いたの?」

「年はいくつだ。見た感じ、志穂と同じくらいだな」

「あら、志穂は今いくつだったかしら」

「この前の誕生日で26歳だ」

「あらやだ、もうそんなに大きくなったの」

「今頃、きっと綺麗になってるぞ」

「そろそろ結婚の話も出る年齢ねぇ」

「だ、ダメだ! 志穂はまだ嫁にはやらんっ!」


俺を置いて、いつの間にか2人の世界に入ってしまったようだ。

2人とも恐ろしいくらいマイペースなのが見て取れた。

もはや、俺の姿は目の前の2人は映っていないようにも思える。

それでも。


「あ、お腹空いてない? 空いてるでしょ?」

「なんだ、腹が減ってるのか。そりゃいかん」


思い出したように突然俺の方に視線を向けた2人が俺を挟むようにベンチに座り込んだ。

それも、かなりの密着度で。

驚く俺を差し置いて、女性は自分のバックの中からいそいそと手作りと思しき『おにぎり』を俺に差し出した。
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