守りたい人【完】(番外編完)
勢いで受け取ってしまった俺をニコニコと見つめる女性。

その笑顔に思わず魅入ってしまっていると。


「ほら、これも食え。今しがた買ってきた鯛焼きだ。美味いぞ」

「カスタード? あんこ? どっちがいい?」

「お母さん、カマンベールチーズもあるんだぞ」

「あら、それ美味しそうね」

「じゃぁ、お母さんはカマンベールで、わしがあんこ。君がカスタードだ」


そう言って、おにぎりの上に無造作に置かれた鯛焼き。

そして、俺を挟んで右隣りにいる女性にカマンベールの鯛焼きと思しきものが手渡された。

大の大人が3人も狭いベンチに身を寄せ合って座りながら、鯛焼きを手にしている。

俺に至っては、おにぎりまで持っている。


「いただきま~す」


再び、ゆるい感じでそう言った2人は、同じタイミングでパクっと鯛焼きを口にした。

そして、頬をへにゃりと緩めながら、口々に美味しいと言っている。

それでも、ポカンとする俺に気づいたのか、2人は俺の顔を覗き込んできた。
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