守りたい人【完】(番外編完)
下宿人用の食堂で、1人黙々と食事をする朝比奈さんを隠れて睨みつける。
必死に笑顔の仮面をつけるけど、さすがの私もキャパオーバーの一歩手前だ。
メラメラと背後に黒い炎をまとった私を尚も無視し続ける彼の顔をじっと見つめる。
初めて見た時と変わらず、ラフな格好。
日に焼けた肌に、逞しい体。
そして、何より整った精悍な顔が悔しいけれどかっこいい。
駅に迎えに来てもらって以来、顔を合わせる事が無かったから、今更こうやって顔を合わせるのは正直気まずい。
おまけに仮にも『お客さん』の彼にあんな態度をとってしまったので尚更だ。
だけど、もう私も大人だ。
そんな小さな事は水に流して、何も無かったかのように振舞っているのに、この一方通行な感じはどうなんだろう。
ツラツラと頭の中でそんな独り言と毒を吐く。
それでも、この恐ろしい程の沈黙に耐えかねて再び口を開いた。
「朝比奈さんは、どちらからいらしたんですか? 喋り方からして関東方面の方かなと思うんですけど」
「――」
「こんな何もない町よくご存じでしたよね。お仕事は何かされているんですか?」
ニッコリと笑顔でそう問いかける。
それでも、視線すら私の方に向ける気配すらない朝比奈さんを見て、笑顔の仮面が剥がれた。
必死に笑顔の仮面をつけるけど、さすがの私もキャパオーバーの一歩手前だ。
メラメラと背後に黒い炎をまとった私を尚も無視し続ける彼の顔をじっと見つめる。
初めて見た時と変わらず、ラフな格好。
日に焼けた肌に、逞しい体。
そして、何より整った精悍な顔が悔しいけれどかっこいい。
駅に迎えに来てもらって以来、顔を合わせる事が無かったから、今更こうやって顔を合わせるのは正直気まずい。
おまけに仮にも『お客さん』の彼にあんな態度をとってしまったので尚更だ。
だけど、もう私も大人だ。
そんな小さな事は水に流して、何も無かったかのように振舞っているのに、この一方通行な感じはどうなんだろう。
ツラツラと頭の中でそんな独り言と毒を吐く。
それでも、この恐ろしい程の沈黙に耐えかねて再び口を開いた。
「朝比奈さんは、どちらからいらしたんですか? 喋り方からして関東方面の方かなと思うんですけど」
「――」
「こんな何もない町よくご存じでしたよね。お仕事は何かされているんですか?」
ニッコリと笑顔でそう問いかける。
それでも、視線すら私の方に向ける気配すらない朝比奈さんを見て、笑顔の仮面が剥がれた。