守りたい人【完】(番外編完)

そんな俺を見て、隣に座っていた男性が一度大きくパンッと自分の膝を叩いた。

その音に反応して、俺と女性がそちらに視線を向ける。

すると。


「よし、家に来るか!」


突拍子もないその言葉に、涙も引っ込んだ。

は? という言葉を体全体で表現した俺に男性はニシシと笑う。


「心配すんな! 俺の家は下宿屋でな! 部屋なら沢山ある!」

「ただの下宿屋じゃないのよ~、朝晩のご飯もつくのよ」

「お母さんの料理は美味いぞ~」

「もう、やだ、お父さんったら~」

「今日のご飯はすき焼きだったか?」

「そうよ、山岸さん家から美味しそうなお肉頂いてね」

「そりゃいい。よし、一緒に食おう」


会話がゴチャゴチャしているから、まとめると。

この夫婦は朝晩の食事付きの下宿屋を営んでいて、今日の夕食はすき焼きとの事。

そして、俺に来ないかと誘っているという事。
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