守りたい人【完】(番外編完)
「それなら、うどん買いに行かなきゃね」

「帰りにスーパー寄ればいいだろ」

「それもそうね」

「さ、そうと決まれば行くぞ!」

「さぁさ、こっちこっち」

「あ、お母さん、ついでにアイスも頼む」

「お父さん、アイスはこの前買ったばかりでしょ」

「か、か、彼も食べるかもしれないじゃないか!」

「あ、そうね。それなら買わなきゃね」


トントンと会話が進んでいき、いつの間にか俺はこの夫婦の家に泊まる事になっていた。

物凄く強引だけど、嫌な気はしない。


急かされるように背を押されて、重たかった体を持ち上げる。

それでも、ここに1人でいた時より心は軽かった。

久しぶりに感じた人の優しさが胸に沁みる。

凍っていた心がゆっくりと溶けていくのが分かった。


「よろしく、お願いします」


そう言って頭を下げた俺に、前を向いていた2人は嬉しそうに振り返った。

そして、ニコニコ顔で俺の背を押した。


「今日はすき焼きだぞ~!」

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