守りたい人【完】(番外編完)
◇
「あ、朝比奈さん、もう出ます?」
仕事着に着替えて玄関を出ると、洗濯物を干していた志穂がパタパタと歩み寄ってきた。
フワフワの長い髪をなびかせて、嬉しそうに頬を緩めている。
「あぁ。今日は6時には帰れると思う」
「本当ですか? じゃぁ~熱々が食べれる揚げ物にしようかな。何がいいです?」
「じゃぁ、春巻き」
「春巻きですね、任せて下さい」
そう言って、ビシッと敬礼をした志穂。
だけど、腕が下がっていたから90度に直してやる。
すると、志穂は嬉しそうに頬を赤らめた。
その赤い顔が、あの日初めて見た茹でダコの顔と重なる。
どうやら、すぐに顔が赤くあるらしい。
それが可笑しくて、ついからかいたくなる。