守りたい人【完】(番外編完)





「あ、朝比奈さん、もう出ます?」


仕事着に着替えて玄関を出ると、洗濯物を干していた志穂がパタパタと歩み寄ってきた。

フワフワの長い髪をなびかせて、嬉しそうに頬を緩めている。


「あぁ。今日は6時には帰れると思う」

「本当ですか? じゃぁ~熱々が食べれる揚げ物にしようかな。何がいいです?」

「じゃぁ、春巻き」

「春巻きですね、任せて下さい」


そう言って、ビシッと敬礼をした志穂。

だけど、腕が下がっていたから90度に直してやる。

すると、志穂は嬉しそうに頬を赤らめた。


その赤い顔が、あの日初めて見た茹でダコの顔と重なる。

どうやら、すぐに顔が赤くあるらしい。

それが可笑しくて、ついからかいたくなる。

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