守りたい人【完】(番外編完)
志穂ちゃん
「志穂ちゃん、そんなもん俺か朝比奈さんに言うてくれたら持つのに」
「これくらい軽いんで大丈夫ですよ――あっ」
「いいから」
「ちょ、朝比奈さん、いつもオイシイ所持っていくのズルいわぁ」
「だったら持つか」
「そういう問題ちゃうねんっ!」
「2人とも、ありがとうございます」
「志穂ちゃん、ほんま優しいわぁ」
楽しそうな話声が姫野荘の庭から聞こえる。
そのあまりの仲の良さに、輪の中に入るのを躊躇した。
視線の先に見えるのは、クルンクルンと楽しそうに揺れる髪の毛。
大きな瞳を細めて、ニコニコと笑う姿。
顔はどちらかというと可愛らしいのに、その服から覗く腕は逞しく男らしかった。
だけど、その視線の先にあるのは私ではない。
ふわふわの髪を風になびかせる、私の一番の友達。
志穂ちゃんだ。