守りたい人【完】(番外編完)

甘い夜

「なんか、こういうのって楽しいですよね」

「まぁ、分からなくもない」

「キャンプしてるみたいです」

「俺は演習してるみたいだ」


ブランケットを肩からかけて、朝比奈さんと小さなランタンを囲む。

淡いオレンジ色の光が精悍な朝比奈さんの顔を照らして、より一層魅力的に見せた。


「自衛隊での演習中もこんな感じなんですか?」

「基本、夜は灯りは点けない」

「え? 何も見えなくないですか」

「暗視装置がある。正確に言えばV3とV8だ。灯りを点けると敵に見つかるから、その暗視装置をつけて基本行動する。後は月明りだな」

「ほぇ~」


どうして私と朝比奈さんが、こんなキャンプまがいの事をしながら、自衛隊の事について和気あいあいと話しているかというと。



答えは簡単。

停電したからだ。
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