守りたい人【完】(番外編完)
なんでも、変電所に雷が落ちたみたいで、ここら辺一体が停電になってる。

良いのか悪いのか分からないけど、夜中に停電になったから家事には影響無かった。

ただ、冷蔵庫の中が心配だったけど、朝比奈さんが氷や保冷剤を大量に詰め込んでくれたから、一先ず大丈夫そうだ。

あと数時間で復旧するらしいから、被害は最小限に抑えられるだろう。


真夏だったら寝苦しいのだろうけど、9月終盤の今では夜は過ごしやすい。

畳の部屋ににブランケットを持ってきて、朝比奈さんが持っていたランタンに火を付けてそれを2人で囲んで寝転がっている。


鍛冶君がいたら、きっとキャンプファイヤーでもしようと言い出しかねないけど、今は仕事の関係で大阪に行っている。

だから、今夜は朝比奈さんと2人っきりだ。

最初は姫野荘のリフォームについて話していたけど、そのうち流れで自衛隊の話になり、どうもそれが興味深く、今では会話に花が咲いている。


「自衛官って日々何してるんですか?」

「ん? あ~、まぁ本当にいろいろだ。部隊によって本当に仕事内容が違う。体を動かす部隊もあれば、頭を働かせる部隊もある」

「へぇ~。なんか、ずっと筋トレしてるのかと思ってました」

「もちろん筋トレもするし、走ったりもする。俺がいた部隊は特に体作りが重視されてたな」


その言葉を聞いて、納得する。

Tシャツの袖から覗く朝比奈さんの腕は、誰から見ても鍛えられていて、一般人にはない逞しさがある。
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