守りたい人【完】(番外編完)
「ご、ごめんなさいっ」
まるでウブな少女のようにそう言って、勢いよく視線を下げる。
もちろん、別に男性と付き合うのが初めてではない。
キスだってした事あるし、Hだってした事ある。
なのに、どうしてだろう。
朝比奈さんの前だと、どうしても冷静でいられない。
朝比奈さんの言動一つ一つに心臓がありえない程大きく揺らぐ。
きっと真っ赤であろう顔を隠して、バクバクと煩い心臓を抑える。
すると。
「逃げるなよ」
耳元で甘い声が聞こえたかと思った時、そっと顎先に手を添えられ、ゆっくりと上を向かされる。
導かれるように顔を上げると、意地悪く笑いながら私を見つめる瞳があった。