守りたい人【完】(番外編完)

あ、やばい。

私の女の部分がそう言う。


揺らめく火が、朝比奈さんの瞳の中で揺れている。

その灯りをまるで魔法にかかったように、じっと見つめ返した。


「目逸らすな」


その言葉と共に、そっとキスが降ってくる。

ゆっくりと瞼を閉じれば、それを合図に更に深くなるキス。

小さく悲鳴を上げれば、大きな手が私の髪に差し込まれる。

そして、優しく引き寄せて、頬から顎に流れていく。


ゾクゾクと体が震えた。

いつの間にか、私に覆いかぶさるようにして朝比奈さんが私を抱きしめていた。

広い胸の中にスッポリ閉じ込められて、息もできなくなる。


「苦しいか」

「んっ」

「目開けろ」

「――?」

「俺を見ろ」


熱い吐息の混ざる中、ちょっぴりS気の漂う朝比奈さんの言葉が脳裏に注ぎ込まれる。

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