守りたい人【完】(番外編完)
「朝比奈さん……きて」
初めて触れ合う素肌が、より近くに朝比奈さんを感じる。
僅かな隙間さえ歯痒くて、ギュッとその背に腕を回して抱きしめた。
すると。
「それ反則」
僅かに浮いた私の後頭部に手を添えた朝比奈さんが、呆れたように小さく笑ってそう言った。
その言葉に首を傾げて顔を覗き込むと、苦笑いを浮かべた朝比奈さんがそこにいた。
「反則?」
言葉の意味が分からなくて首を傾げる。
すると、小さく溜息を吐いた朝比奈さんが、チュッと私の額にキスを落とした。
そして。
「もう、手加減しない」
瞳をすっと細めた朝比奈さんは、そう言って再び噛みつくようなキスで私の唇を塞いだ。
唇の端から、どちらかとも分からない唾液が伝っていく。
まるで獣のように抱き合う私達。