守りたい人【完】(番外編完)
唇から零れる小さな悲鳴が和室の中に響く。
壁に映った私達の影が、1つに重なる。
「あっ」
耐えきれず漏れた声が恥ずかしくて、腕で口を隠した。
それでも、朝比奈さんはそれすら許してくれず、すかさず私の手を取って床に縫い付けた。
激しく揺れる2つの影。
振り落とされないように大きな背中に腕を回して、隙間なく抱きしめる。
「朝比奈さんっ」
何度も何度も、上り詰めてはその名前を呼ぶ。
その度に、朝比奈さんは僅かに微笑んで私の唇を塞いだ。
そして。
「志穂」
互いに強く抱きしめ合いながら、共に果てた――――。