守りたい人【完】(番外編完)

姫野荘


「あ~いい匂いがする」


部屋の掃除を終えてキッチンへやってくると、パンの香ばしい匂いが立ち込めていた。

自然と頬を上げて部屋を覗き込むと、たまちゃんと数人のお客さんが焼き立てのパンを美味しそうに頬張っていた。


「あ、志穂ちゃん、お疲れ様~」

「いい匂い~。今日は何パン?」

「今日はクロワッサンだよ」


そう言って、食べる? と差し出されたので、遠慮なくそれを受け取って口に運ぶ。

まだ熱々のパンは柔らかく、口いっぱいに美味しさが広がった。


「美味しい~!」

「ふふ、よかった。みんなも喜んでくれてるよ」


そう言われて、テーブルに向かい合わせに座る人達を見渡す。

みんな美味しそうにパンを頬張ったり、写真を撮ったりしている。

その表情はみんな眩しいほどの笑顔だった。
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