守りたい人【完】(番外編完)
今日は祖母の法要という事で、実家に帰ってきていた。
帰ってくるのは、何年ぶりだろう。
辺り一面、記憶の中と変わらない田園風景が広がっている。
高い建物なんて一切なくて、どこまでも広がる空がある。
聞こえてくるのは、鳥が鳴く声くらい。
どこを歩いても、なかなか人にも会わず、長閑で平和で何もない場所。
そこが私の故郷だ。
高校を卒業と同時に、親に無理を言って東京の大学に入学した。
理由は一つ。
ここが嫌いだったから。
どこに行くにも不便で、欲しいものの半分も買えずに、小さな箱庭の中で見知った顔に囲まれて過ごす日々。
息が詰まりそうな日常から逃げて、憧れの東京へ出た。
あの頃は自分の事ばかり考えて両親の事なんて一つも心配しなかったけど、きっと一人っ子だったから寂しかったと思う。
「変わってないなぁ」
無人の駅に備え付けられているボロボロの木の椅子に腰かけて、そう呟く。
そこから見える景色も匂いも、あの頃と何一つ変わっていない。
それが嬉しいような、悲しいような、不思議な気持ちだった。
帰ってくるのは、何年ぶりだろう。
辺り一面、記憶の中と変わらない田園風景が広がっている。
高い建物なんて一切なくて、どこまでも広がる空がある。
聞こえてくるのは、鳥が鳴く声くらい。
どこを歩いても、なかなか人にも会わず、長閑で平和で何もない場所。
そこが私の故郷だ。
高校を卒業と同時に、親に無理を言って東京の大学に入学した。
理由は一つ。
ここが嫌いだったから。
どこに行くにも不便で、欲しいものの半分も買えずに、小さな箱庭の中で見知った顔に囲まれて過ごす日々。
息が詰まりそうな日常から逃げて、憧れの東京へ出た。
あの頃は自分の事ばかり考えて両親の事なんて一つも心配しなかったけど、きっと一人っ子だったから寂しかったと思う。
「変わってないなぁ」
無人の駅に備え付けられているボロボロの木の椅子に腰かけて、そう呟く。
そこから見える景色も匂いも、あの頃と何一つ変わっていない。
それが嬉しいような、悲しいような、不思議な気持ちだった。