守りたい人【完】(番外編完)
「え? あ、ううん。大丈夫」


フリーズしていた頭を元に戻して、慌てて笑顔を作る。

それでも、たまちゃんは納得のいかない様子でニヤリと笑った。


「怪しいぃ~、何かあったでしょ?」

「何もないよ!」

「うーそ。だって、悩み事がある時の志穂ちゃんって、ボーっとして人の話聞かないんだもん」


そう言って、ケラケラ笑ったたまちゃんは持ってきてくれたクッキーを美味しそうに口に運んだ。

そして、もぐもぐと口を動かしながら、私が耕した庭の畑を見てニコニコ笑っている。

その底抜けに明るい性格に、張っていた心の糸が少し緩む。


「……たまちゃん」

「なぁに?」

「たまちゃんは彼氏とかいないの?」


そう言って、ムシャムシャとクッキーを食べるたまちゃんの顔を覗き込めば、キョトンとした顔で見つめ返された。

だけど、次の瞬間弾けるようにケラケラと笑い出した、たまちゃん。

その姿に、今度は私がキョトンとする。

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