守りたい人【完】(番外編完)
目の前に見えるのは、普通の、どこにでもあるような桜。
だけど、こんなにも綺麗だと思えるのは、何故だろう。
こんなにも胸を熱くするのは、何故だろう。
「綺麗ですね」
そう呟けば、少し離れた所に立っていた朝比奈さんの視線が私に向けられる。
その視線を感じて、あの事件の事を不意に思い出して勢いよく顔を向けた。
「あ、そうだ! あの夜の事は忘れて下さい!」
「あの夜?」
「だから、あの、この前の。よ、よ、酔いつぶれた次の朝の事ですっ!」
ここが真っ暗で良かった。
きっと、今の私茹でダコみたいに真っ赤だ。
そんな私を見て、あぁと思い出した様子の朝比奈さんは、まるで悪戯っ子のように口端を上げて笑った。
その始めて見る表情に、思わず釘付けになる。
それでも。
「あれ、嘘」
「へ?」
「だから、嘘」
「嘘ぉ!?」
「そう。だから、別にあんたとは何もない」
その言葉に、目が飛び出るほど驚く私とは正反対に、飄々とした顔でそう言ってのけた朝比奈さんを見て絶句する。
だけど、こんなにも綺麗だと思えるのは、何故だろう。
こんなにも胸を熱くするのは、何故だろう。
「綺麗ですね」
そう呟けば、少し離れた所に立っていた朝比奈さんの視線が私に向けられる。
その視線を感じて、あの事件の事を不意に思い出して勢いよく顔を向けた。
「あ、そうだ! あの夜の事は忘れて下さい!」
「あの夜?」
「だから、あの、この前の。よ、よ、酔いつぶれた次の朝の事ですっ!」
ここが真っ暗で良かった。
きっと、今の私茹でダコみたいに真っ赤だ。
そんな私を見て、あぁと思い出した様子の朝比奈さんは、まるで悪戯っ子のように口端を上げて笑った。
その始めて見る表情に、思わず釘付けになる。
それでも。
「あれ、嘘」
「へ?」
「だから、嘘」
「嘘ぉ!?」
「そう。だから、別にあんたとは何もない」
その言葉に、目が飛び出るほど驚く私とは正反対に、飄々とした顔でそう言ってのけた朝比奈さんを見て絶句する。