クールな御曹司の契約妻になりました
「足、滑らせちゃって……」


こんなつもりじゃなかったんだけど……。

小さくなりながらずぶ濡れの私はプールから一歩の動けずにしょんぼりと呟く。


穴があったら入りたい。

いや、もう穴ではなくてプールには入っているか……。


冷たいはずのプールだけれど、私の身体は恥ずかしくて熱を帯びる。


「ぷっ……!!ははは……」

心配そうな顔して手を差し延べてくれていた千裕さんが、突然盛大に噴き出した。


身体を全体を細かく震わせて笑っていて、目尻には小さな涙さえ浮かんでいる。


確かに笑ってほしいって、元気になって欲しいって思ったけれど、なんだかこうなってしまっては若干腹立たしささえ覚えてしまう。

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