クールな御曹司の契約妻になりました
キャンドルをぼんやりと見つめている千裕さんは、いつもと雰囲気が違う。


ううん、違う。

こんなにゆっくりとした時間を過ごしている千裕さんを見るのは初めてのことだ。


「千裕さん」

後ろから声をかける。


千裕さんと一緒に、真後ろに佇む霊も私の方を振り向いた。


今は随分と穏やかな表情になっていると感じることが出来る。

だけど、それと同時に随分と淋しそうな、悲しみにも似た眼差しだって感じ取ることが出来る。



「起きた?ぐっすり寝ていたから、そのままにしておいた。俺が疲れさせたな」

私に気が付いた千裕さんが穏やかな表情を浮かべてそんなことを言うから、私は小さく首を横に振る。

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