クールな御曹司の契約妻になりました

「千裕さんの後ろの女の子、千裕さんが楽しい時には笑っているし、疲れている時には心配そうにしている。千裕さんが嘘ついている時や無理している時には悲しい表情している。」

「そんな、まさか……」

千裕さんは先ほどから、何度も後方を確認して首を傾げているけれど、当たり前だ。
千裕さんには、見えるはずがない。


「香穂、その女の子はどんな顔か分かるか?」

未だに信じられないという表情をした千裕さんが私にポツリと尋ねる。


「うーん。はっきりとは見えませんけど、髪は茶色のセミロングで、緩いパーマがかかっています。目はパッチリしていて、メイクはナチュラルメイクですね。小顔で可愛い印象で、それから……」


「もう、辞めてくれ」


言わせたのは、千裕さんなのに……。

千裕さんは低いトーンの口調で、私の言葉を遮った。


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