クールな御曹司の契約妻になりました
「大変です。だけど、千裕さんが頑張っているから。私も頑張らなきゃって思ってます」

「へぇ、そう」

私の答えに奈々未さんは曖昧な表情をさらに深めながら頷く。


「社長のこと、好き?」

タルトにのったイチゴをパクリと食べた奈々未さんが、何かを探るような眼差しで尋ねた。

不覚にも一瞬、ほんの一瞬だけ油断した。

「えっ、えぇ!!もちろん」

少しだけ声が震えてしまう。


好きか、嫌いかと尋ねられたら、好きに決まってる。

仕事をしている千裕さんは人として尊敬できる。
新婚旅行で一緒に過ごして、その気持ちはさらに大きくなったことだって自覚している。


だけど、恋愛感情では、ないと思う。

私の動揺はどれだけ奈々未さんに伝わったのだろう。

奈々未さんは天使のようににっこりと満面の微笑みを浮かべて、上品にもう一口タルトを食べた。
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