クールな御曹司の契約妻になりました
「おやすみなさい」
夕食の片づけをして、お風呂に入った私がそう声をかけると、リビングで英字で書かれた難しそうな本を熱心に読んでいた千裕さんが私に視線をうつす。
「おやすみ」
甘ったるい笑みを浮かべてそう言った千裕さんは、憎らしい程美しくて、思わず顔が熱を帯びる。
「ま、また早く帰るときは教えてください。簡単なもので良ければ夕食作ります」
「うん。ありがと」
恥ずかしくなって少し視線を反らした私は、千裕さんのお礼を聞かないうちに踵を返して寝室に繋がる階段を駆け上がった。
あんな表情見せられてしまったら今夜はなんだか、ドキドキして眠れそうにないじゃない。