クールな御曹司の契約妻になりました

眠れそうにないなんて考えていたのも、ほんの一瞬のこと。

寝室のベッドにゴロリと横になったら、なんとなく睡魔が襲ってくる。

重たくなった瞼を閉じたその瞬間だった。

足元に鉛が乗っかった様な気がして、夢の世界に入りかけていた私は一気に現実の世界に戻ってきたけれど、瞼だけが重くて目が開かない。

瞼だけじゃない。身体だって、指先のかすかな動きでさえ動かすことが難しい。

これって、金縛りってやつだ。

人生初めての金縛りに、頭が真っ白になる。


『ねぇ、ねぇ』

「誰?」

どこからともなく誰かに話しかけられた気がして、私は声にならない声でその相手に尋ねる。

あぁ、こんな時、金縛りの相手に話しかけたり返事しちゃいけないってどこかで習ったはずなのに……


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