クールな御曹司の契約妻になりました

成松さんは、鞄からおもむろに二階堂ホテルのマークが印字してある茶封筒を取り出す。

その茶封筒を、テーブルを滑らすようにして向かいに座っている私に手渡した。

『茶封筒の中身を確認しろ』
そう言わんばかりの視線を私に向ける成松さんに従うように私は茶封筒の中身を取り出す。


中にはたった1枚のA4サイズの紙。

「この週末に秘書室に届いていたFAXです」

重たい口を開く成松さんの様子に私は一気に緊張感が増す。

二つ折りにしてあるFAX用紙を開いた瞬間、私は息を呑んだ。


『二階堂千裕と香穂の結婚は完全な偽装結婚。彼らは契約を交わしている。すぐに別れなければマスコミに公表する』

一気に背筋が凍る。FAX用紙を持つ手が意識しないと震えてしまう。


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