クールな御曹司の契約妻になりました
「私が気が付いたため、秘書室の誰もこのFAXのことは知りません。結婚以来、これまでも何度か嫌がらせに近いFAXやメールが届いていたのですが、これは今までのものと嫌がらせの種類が違うというか……」


眉間に皺を寄せて、言葉を選ぶように喋る成松さんの言葉が、全く頭に入ってこない。

「こんなこと……。一体、誰が……」

手だけじゃなくて、声までもが震えてしまう。

「分かりません。しかし単なる悪戯の可能性だってあります。この件に関してはこちらで独自に調査していこうと考えています」

「お願いします……」

「いいですか、香穂さん?あなたが注意するべきは週刊誌の記者だけではないということです。どこにどのような敵が居るか分かりません。外に出る時には十分に気を付けてください」

成松さんに諭され、私は頷く。
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