クールな御曹司の契約妻になりました
成松さんから数時間前に見せられたFAX。

それから、目の前の差出人不明の郵便物。


私と千裕さん、それから成松さん以外の誰かが、この結婚の秘密を知っているってこと?!

姿の見えない敵がいることに、先ほどの成松さんの言葉を思い出して、一気に恐怖が押し寄せてくる。

さっきから恐怖で膝の震えが止まらない。

千裕さん、助けて。


私は握りしめていたスマホから電話帳の画面を起動させる。


『二階堂 千裕』
 
名前を見ただけで、千裕さんの余裕たっぷりに笑う表情や優しい眼差しが頭に浮かんでくる。


だけど、発信画面の直前で、その名前を見た私の頭のどこか冷静な部分が発信ボタンを押すことを躊躇った。



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