クールな御曹司の契約妻になりました
「なっ、何ですか!?この書類……」
「婚姻届けです」
驚きのあまり、素っ頓狂な声をあげた私をよそに成松さんはやっぱり表情1つ変えずにいる。
私の反応なんて、きっと想定内なのだろう。
目の前の書類が婚姻届だってこと位、見ればすぐに分かる。
左の夫の名前を書く欄には『二階堂 千裕』と整った文字が書かれている。
ううん、住所だって、保証人だってしっかりと成松さんの名前が並んでいる
書かれていないのは、私の名前と、住所だけ。
私がサインすれば、この書類は完成するというわけだ。
あぁ、もう。
なんだかめまいがしてきた。
返す言葉すら見つからないって、きっとこんな状況のことをいうんだろうな。