クールな御曹司の契約妻になりました
見つめられた私は気が付いてしまった。
千裕さんの後ろにサヤカさんがクッキリと見える。
そういえば、このところサヤカさんの姿は千裕さんの後ろに感じることは少なかった。
だけど、今は私に向けて何か伝えたいことがあるのか、その姿がヒシヒシと伝わってくる。
「香穂、うちに帰ったら話さないといけないことがある」
いつにも増して、深刻そうな口調の千裕さん。
その一言を私に伝えると、私の返事なんて聞くこともなく雨の降りしきる外の景色を一点に見つめていた。
きっと、サヤカさんのことなんだろうな。
何故だか分からないけれど、それだけは分かる気がした。