クールな御曹司の契約妻になりました
「あっ、あの、私の両親には……」
婚姻届けを目の前に、ふと両親の顔が浮かぶ。
私が大学に入学すると同時に海外に移住した両親に、私は一体この事態をどう説明すればいいのだろう。
「あぁ、君のご両親には先日、二階堂社長の方から直接、報告している。」
「えっ!?それで、両親は……」
きっと驚いたに違いない。
一人娘の私が就職が決まったという話よりも先に、婚約相手と名乗る男性が現れて結婚の報告をしたというのだから……。
「あぁ。初めは大変驚かれたらしい。しかし、結婚の承諾は頂いている。『二階堂社長から見染められた』と、大変喜ばれていたそうだ」
あぁ、なんだか諸手を挙げて喜んでいる楽天的な両親の姿が目に浮かぶ。