クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂、おはよ」
嘆いていた私に聞き慣れた艶やかな声がかけられる。
「えっ?千裕さん?」
私は裸だということもすっかり忘れるほどに驚いて飛び起きて、そして慌ててブランケットを羽織る。
「おはよ、香穂」
あぁ、きっと私の裸見られちゃった……。
冷静に考えれば、昨夜の情事の時だって隅から隅まで見られているんだろう。
だけどこんな真昼間に、ムードなんて皆無の寝室で千裕さんに見られるなんて何かの罰ゲームかと思えてしまう。
顔中が一気に朱に染まるのを感じながら私は持っていたブランケットを口元まで引き上げる。
びしっとスーツ姿のお仕事モードの千裕さんが、ベッドの端に長い足を組んで座っていて、私を眺める様に見ながら可笑しそうに見つめている。
穴があったら入りたいって、まさに今の私の状況だ。