クールな御曹司の契約妻になりました
「香穂は見ていて飽きないな」

焦る私とは対照的に千裕さんは余裕たっぷりの表情を浮かべて笑っている。

そんな千裕さんの視線を感じながらも、どうにか近くに丸まるようにして落ちていたルームウエアのワンピースを見つけて身に着ける。

急いで着たいのに、やっぱりいつもより動きが鈍いのは昨日の夜の千裕さんのせいだ。

私は恨めし気な視線を千裕さんに送ると、我慢しきれなくなった千裕さんはプッと噴き出して声をたてて笑い始める。

ひ、ひどい。

「怒った顔も可愛いよ、香穂」

なんだかそんな甘い言葉を呟かれると、胸の鼓動の高鳴りを覚えて、怒っていることすらどうでもよくなってしまう。
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