クールな御曹司の契約妻になりました
「俺は、なにより香穂が心配だったんだ」

私の足元に座っていた千裕さんはそう言いながら私のそばに座り直すと、私の髪の毛を弄びながら心配そうな顔を浮かべる。

そんな顔して、優しい言葉をかけないでよ。


ようやく収まった胸の鼓動が一気に加速していく。

「昨日、香穂があまりにも可愛い声で啼くから、俺も止められなかったから……」

千裕さんの言葉に顔だけじゃなくて耳まで火が付いたみたいに熱くなる。


「わっ、私は、大丈夫です!!」

そりゃぁ、身体を動かせばいつもより鉛のように重たく感じるし、いろんなところに痛みを感じる。

だけど、千裕さんが仕事に行かずに私が起きるのを待っているほど心配させるほどの状態じゃない。


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